朝井まかて の 「朝星夜星(あさぼしよぼし)」

★3.3 朝星夜星とは、朝は夜明け前から、夜は日暮れまで精を出してみっちり働くことで、昭和の中頃までは使われていた言い回し。幕末の長崎で初の洋食屋を始め、明治の大阪でレストラン兼ホテルを開いた料理人・草野丈吉と妻ゆきの物語。

ゆきは肥後の百姓の生まれ、12歳で長崎丸山町の傾城屋・引田屋の下女として奉公に上がり、25歳で1つ下の丈吉の妻となる。出島の商館が4年前に廃止され領事館になっているとあるから、嫁入りは1863年頃のことか。

丈吉は長崎、伊良林の若宮稲荷の袂の百姓の息子。長崎では出島のコンプラドール(諸色売込人)に雇われたのが縁で、安政5