連載:薩摩よみうり俳句

薩摩よみうり俳句5月9日(火)

 俳句 大川畑光詳 選

  かがよ
春潮や燿ひ浮かぶ能舞台       鹿児島 林 繁行
(評)海の上の能舞台とは珍しい。同時投句作に「桃花祭」とあるので、宮島の厳島神社の高舞台だとわかる。桃花祭は桃の花を供えて舞楽を奉納する祭り。舞楽は夕方に始まり、やがてライトアップされた能舞台が海上に浮かぶ。揚句はひた寄せる春潮に灯をきらめかせる能舞台のみを描き、そこで演じられる舞楽や能については読者の想像に委ねている。

花水木風新しき今朝の路地     鹿児島 上坪 満代
手つかずの浄土に遊ぶ紫雲英の子   霧島 秋野 三歩