母の日に思う

私の母は30年前に死んだ。
戦後の混乱期を生き、やっと社会も家庭的にも安定して、自らの人生を生きようとする矢先のことだった。
肺炎だった。
現代の医学では肺炎などそれほど重篤にはならない病気ではあるが、母の場合自身の肺そのものに問題があった。

戦前までは“死病”とまで言われた肺結核、母はそれに罹患した。
当時、多少医学は進歩したとはいえ、肺結核はまだまだ恐れられている疾患だった。
小学低学年だった私は、父に連れられて母の病院を訪れたとき、なにやらカプセルのようなものに入れられている母に会った。
私は子供心にも、ただごとではないと感じ取っ