連載:宗教3

「現代の虚無と信仰」を読む

西谷啓治氏の一文「現代の虚無と信仰」を読む。
西谷氏は1900年生まれの哲学者、西田幾多郎氏のもとで学び、宗教に深い洞察を行った方だ。
自分の若い頃、西谷氏の主著『ニヒリズム』を、毎ページが赤線で真っ赤になるほど頭に刻み込むようにして読んだ。しかしいま思うと理解し得たのかどうか定かではない。

この一文はとてもわかり易く、すっと理解した。
概要は、西欧文明のなかで、キリスト教がかつてほど力を持ちえずに、個人の存在や活躍という部分に主体を置き始めた時代に移行した。そのような背景でこそ、新たにたち現れてきた問題に焦点を当てたもの、と受け取った。