『万葉集』を訓(よ)む(その千九百七十八)

 今回は、一六一四番歌を訓む。題詞に「遠江守櫻井王奉天皇歌一首」とあり、本歌は、「遠江守(とほつあふみのかみ)櫻井王(さくらゐのおほきみ)の天皇(すめらみこと)に奉(たてまつ)る歌(うた)」である。作者について、阿蘇『萬葉集全歌講義』の注を見ておこう。

 桜井王 天武天皇の曽孫。長皇子の孫。川内王の子。高安王の弟。和銅七年(七一四)正月、無位より従五位下。養老五年(七二一)正月、従五位上。神亀元年(七二四)二月、正五位下。天平元年(七二九)三月、正五位上。天平三年正月、従四位下。天平十一年四月、高安王らと共に大原真人の氏姓を賜り臣籍に降りる。短歌二