連載:宗教3

つくった物語に支配されるという話

人間は言葉によって考えている。
したがって言葉なしには、なにごとかを悩んだりすることはできない。悩むときには、かならず頭の中で言葉が響いているにちがいない。原因がわからない不安についても、不安という言葉が頭を支配している。

逆に、言葉で表現できないことがらは、考えたり悩むことはできない。言葉によって、苦悩したり悩んだりしているのがわれわれの実態だ。言葉には、われわれを呪縛している側面がある。

たとえば親から子が生まれる、と表現する。
時間的な順番として、親がいて子を生むと思ってしまう。しかしこの表現は、ある省略がなされていてほんとうは正確