木内 昇 の「かたばみ」

★4.0 我が家の庭にも生えるかたばみの花言葉は「母の優しさ」「輝く心」らしい。テーマは、戦中、戦後の教育の混乱と血の繋がらない子の子育て。

悌子は槍投げ選手を挫折し、代用教員に就いた。幼馴染の清一と結婚するはずが、清一は別の女を選んだ。だが清一が戦死したことで子の清太を引き取ることに。そして好きでもない同じ下宿の権蔵と結婚する。

矛盾だらけの学校教育に翻弄されながらも成長していく悌子。清太が大きくなるに従い出生の真実を告げられなくて悩む悌子と権蔵は親としても成長していく。鋭い突っ込みが各所にあって考えさせられた。この作家らしくもある。