文学の先輩、恋坂通夫さんを偲んで  

初めて先生を見たのは、私が県読書連合会理事をしていた頃ではなかったかと思います。私の講演会の参加者の中に、後ろの方でぽつり目立つ人がいた。
それがあなただと記憶しています。それから個人的に話す機会もあって、
『文学は人の心を暖かくするもの、先生と私が若ければ共に小説を書いて、世に問えたのに、残念』
と話すと目を光らせ、ニコニコしながら聞いてくれましたよね。あなたは言葉少なでしたが、あの嬉しそうな顔を忘れられません。思えば、あの時、今でも遅くないと先生は言いたかったのでしょうね。それから私の書く詩を誰も評価してくれないのに、先生は『面白い、ユニークだ