連載:孫日記

「おじいちゃんに会いたい」

椅子から立ち上がった。座る。また立ち上がる。
「トイレに行きますか?歩きますか?」
頷く。トイレの後、片方の腕をしっかりと組み、歩いた。小股にゆっくり歩く。

普段は何もせず、ただ斜め下を見ている。表情は絶望しているようにも、寂しげにも見える。家族はいるはずだが誰一人ホームに面会に来ない。この方も誰かのおじいちゃんなのだろう。


「おじいちゃんに会ってみたい」
お兄ちゃんと二人で歩いている時、言われた。

甘えん坊で泣き虫のお兄ちゃん。私はもうこの子には子供だからと嘘をついたり曖昧にごまかしたりはしないと決めている。

離婚した