磯野真穂「他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学」

 日本は人口の高齢化に伴い医療費の増大をいかに抑制するか、大幅に介護者が不足しており要介護者をいかに抑制するかが国家課題となっている。そのため、いかに長く健康を維持するかが重要な政策取組みとなっている。著者は脳卒中のリスクを下げるための抗血栓療法を取り上げる。抗血栓薬は血栓をできにくくするが、一方血が止まりにくくなり大出血のリスクもある。「長嶋茂雄さんみたいになりますよ」と脳卒中のリスクは強調されるが、出血のリスクはさらっと説明されることが多いという。医療においてはインフォームド・コンセントが重要視されるようになったのに客観的な説明ではなく、医療者の無自