英雄の死

 北方謙三の「チンギス紀 (十七) 天地」を読了した。著者はハードボイルド出身の作家であるが、先年完結した大水滸シリーズ等、最近は中国史を題材とした歴史小説が多い。本書は、ユーラシア大陸に拡がる大帝国の礎を築いた英雄チンギス・カンの人生を描いた物語の第十七巻で、シリーズの完結編である。
 礼忠館を差配するトーリオはアウラガを出てカラコルムに向かい、耶律楚材に会う。耶律楚材と旅を続けたトーリオは鎮海城でチンカイに会うが、耶律楚材はボオルチュからの命令として、チンカイにアウラガに戻る様に伝える。
 女医のケシュアは彼女が鎮海城に戻ることをジョチに伝えるが