野村真理『ウィーン ユダヤ人が消えた街——オーストリアのホロコースト』岩波書店、四六判上製、262頁、2023年、読了。

 本書は、東欧諸国の「負の側面を白日のもとにさらす」ホロコースト史的研究の流れ。「オーストリアのホロコースト」、「反ユダヤ主義」を鍵語とする「オーストリア近現代史再考の試み」という(序)。愚生は今またしつこく言うが、ロシアによるウクライナ侵略戦争真っ只中にある世界に生きておる。そのことを自覚しつつ、先行して読み継いでいるのが、クズネツォーフ『バービイ・ヤール』(邦訳1967年)というロマン・ドキュメント、「ナチスのユダヤ人虐殺は、ソビエト市民の反ユダヤ人感情と密告の原理を利用して行われた」(本カバー解説)ウクライナのキーウにおける悲劇(占領1941-43