扱い難い有能な部下

 米澤穂信の「可燃物」を読了した。著者はミステリー作家で、古典部シリーズや小市民シリーズ等の、いわゆる日常の謎を扱い、青少年を主人公とした爽やか系の青春ミステリーが多いが、実験的な手法を用いた作品も多く、ミステリー自体は本格派である。本書は、著者の初めての警察小説の連作短編集である。
 本書の主人公は群馬県警刑事部捜査第一課班長の葛警部であるが、彼は捜査能力は抜群であり、強行犯捜査指導官の小田警視は彼の能力を買っているが、上司で捜査第一課長の新戸部四郎からは疎まれ、部下達からは冷ややかな目で見られ、敬して遠ざけられている。
 「崖の下」:群馬県警利根