連載:俳句帳

11月の俳句帳(127)令和五年11月30日

1)声明(しょうみょう)に沁みる余韻や秋思湧き

2)昏厨(くらくりや)果実酒瓶と酸橘(すだち)二個

3)白紋を染めし羽織の門鶲(ひたき)

4)動かざる鎌振り上げし枯れ蟷螂(とうろう)

5)落柿舎(らくししゃ)の庭に筧や添水(そうず)鳴り

6)壺庭の磨く蹲踞(つくばい)水澄めり

7)庭暗し酸橘たわわに黄の明かり

8)川散歩一重(ひとへ)脱ぎたる小春かな

9)山冷えて鍋に盛りたる茸汁

10)小鴨二羽水面(みなも)並びて水尾(みお)描く

11)色鳥の来て柑橘樹揺れに揺れ

12)秋の橋直線翔び来る