飯能散歩 ― 能仁寺紅葉と「陰翳礼讃」 ―

谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃」を読み終えてしばらくして友の誘いで飯能(埼玉県飯能市)の能仁寺に出かけた。
飯能市 ― 今ではムーミンのテーマパーク「メッツァ」で有名になったが中世以降木材の産地として栄え、殊に江戸時代はこの周辺で採れる杉、檜が「西川材」と呼ばれ火事の多い江戸に入間川、高麗川から荒川を通って送られ、多くの山林王が生まれた。中でも「鳥居観音」という寺を実業家でもあり政治家でもあった平沼弥太郎が建立している。一度訪れたことがあったがその寺で会った地の古老らしき人の話によれば「すごい人だったよ。金持でさ。そう、この一帯の山持ちで銀行の頭取をやった