どうやって小説を書く? 試作1

「もうやってらんねぇすよ。これってどこまでやればいいんすか?」

3か月前からこの遺跡発掘のバイトに来ている彼は「やる気ゼロ」のオーラでいつも体全体が覆われている。夜間の交通誘導のバイトをクビになってこのバイトに転がり込んできた理由は「考古学にロマンを感じて」とか「歴史が好きだから」とかでは全くない。単に時給が少し良くて発掘現場が家に比較的近かっただけだ。一応名の知れた大学の文学部4年生だというが「就活で忙しい」とか「内定決まった」という話は一言も聞いたことがなかった。

「ねえ石川くん、ヤンキー座りじゃなく、掘るときは片膝立ててやってって言った