今年の読み納は夏目漱石の「明暗」(上・下)

①明暗(上)夏目漱石 岩波書店(漱石全集第14巻)
 2020年10月以来の再読。漱石最後のしかも未完の小説だ。主人公は会社に勤める30歳の津田。痔のために入院するが、金策がつかない。京都にいる父に援助を頼むものの断られる。その理由を、妻の延子のせいにしたがる、津田の妹のお秀。さらに津田の友人の小林や、津田夫妻とかかわりのある叔父夫婦など、人間関係の中に現れる、エゴイズムや打算が緻密な文章で語られる。再読して、吉川夫人、継子、も含め女性の視点から描かれた物語は、独特の緊張感を孕む。

②明暗(下)夏目漱石(岩波書店 漱石全集第15巻)
 下巻では