連載:姥のつぶやき

「紙の月」 角田光代著


 バブル崩壊直後の1994年。夫と二人暮らしの主婦・梅澤梨花は、銀行の契約社員として外回りの仕事をしている

 何不自由のない生活を送っているように見えた梨花だったが、自分への関心が薄い夫との間には、空虚感が漂いはじめていた
 そんなある日、梨花は年下の大学生、光太と出会う
 光太と過ごすうちに、ふと顧客の預金に手をつけてしまう
 最初はたった1万円を借りただけだったが、その日から彼女の金銭感覚と日常が少しずつ歪み出し、暴走を始める

 梨花がその生活の中で自ら破滅の種をまき、育てる
  後悔も反省もせず、崖っぷちに向かって加速し