止まってしまった時間

 柚月裕子の「ふたつの時間、ふたりの自分」を読了した。著者は、2008年に第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、著者がデビューしてから十五年間に様々な媒体に発表したエッセイや受賞記念講演の原稿を収録したものである。
 本書を読むと、作品のイメージとは異なり、著者は子供時代は引っ込み思案で物静かだった様である。その原因として著者は、親の転勤により彼女が子供時代に転居を繰り返したことを挙げている。彼女は父親の転勤のために、小学校を二回転校している。私も親の転勤の都合で二回転校し、三つの小学校に通ったので、著