連載:読書感想連載

『幻庵中』(百田尚樹著)は、願うのは、寺社奉行が丈和の名人碁所をゆるさぬことだ。因碩はそれを一縷の頼みとした、と

17歳になった服部立徹。 葛野丈和と対局した。 前日の桜井知達に打った碁で何かを掴んだ感触があり。 父の服部因淑は、「もはや先の碁ではない」と言った。立徹は浅草の清光寺の碁会で丈和と打った。 丈和の持つまだ見えない強さが顔を出したものなのか。 立徹が丈和に肉薄している。 元丈は立徹と打ってみようと思った。 つまりは心から服部立徹の才を認めたということだ。 後世の碁打ちたちが「服部立徹こそ、まさしく真の名人であった」と語るような打ち手になることが己の目指すものであった。 知達とは一生を懸けて戦っていく予感があった。 その強さを決めるのは、才能でも年齢でもな