さんが書いた連載読書感想連載の日記一覧

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『幻庵中』(百田尚樹著)は、願うのは、寺社奉行が丈和の名人碁所をゆるさぬことだ。因碩はそれを一縷の頼みとした、と

17歳になった服部立徹。 葛野丈和と対局した。 前日の桜井知達に打った碁で何かを掴んだ感触があり。 父の服部因淑は、「もはや先の碁ではない」と言った。立徹は浅草の清光寺の碁会で丈和と打った。 丈和の持つまだ見えない強さが顔を出したものなのか。 立徹が丈和に肉薄している。 元丈は立徹と打ってみようと思った。 つまりは心から服部立徹の才を認めたということだ。 後世の碁打ちたちが「服部立徹こそ、まさし…

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『野良犬の値段下』(百田尚樹著)は、ホームレス支援団体に、匿名の高額寄付があったという、いい話が聞けてよかったと言う

 「やるんだ!」 松下は高井田を睨みつけ、鋭い口調で言った。 「何も高井田さんに、俺を殺せとは言っていない。 だから、薬で安楽死させてくれ」  高井田は 河川敷に、影山貞夫、石垣勝男、大友孝光、それに松下和夫を集めた。 これから行う「誘拐事件」の計画と作戦の概要をあらためて語った。 ネットを使ってサイト上で展開するアイデアを出したのは石垣だった。 このアイデアによって「劇場型」の骨格が固まった。…

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『新・地図のない旅Ⅰ』(続続)(五木寛之著)

 その渦中で母が亡くなった。父親は呆然自失の状態だった。中学生だった私が、長男として弟や妹を養わなければならない。 38度線を徒歩でこえ、南へ脱出した。 無事に帰国した後も、旅は続いた。福岡から東京へ。そして東京から金沢へ。金沢は私の作家としての出発点である。こうしてものを書く仕事を続ける限り、金沢は私の心のふるさとだ。金沢を前進キャンプ。 雪解け前のロシア。 ラテンアメリカや中東。 マドリッド…

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『新・地図のない旅Ⅰ』(五木寛之著)は、「地図のない旅」というのは、いわば私の生き方そのものだ、と

人は病気を治すためだけに病院へ行くのではない。「心をいやす」ことも求められているのではないか。  趣味としての養生とは  「趣味が養生?」「おかしいかね」 呼吸法、<嚥下> <誤嚥>  自分の実感にしたがうしかない。 間違った場合は、自分で責任をとればいいではないか。  読めても書けない字  若い頃から、もう60年以上も文章を書いて食ってきた。いわば文字を書くプロだ。 井上ひさし、野坂…

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『悔いなく生きよう』(瀬戸内寂聴著)は、人間の心を正し、人格を造る教育こそ、急務ではないだろうか。最も急務で、必要なのは、教育の大改革ではないだろうか。仏造って魂入れず式の教育では、日本の将来は絶望的である。と 

()(人生の流れの中を)「悔いなく生きよう」  ペン1本の半世紀  昭和25年(1950)、28歳の時から、私は少女小説で自分の身を養ってきた。大人の小説で食べられるようになったのは、昭和32年、35歳からであった。 小説家として書き暮らしてからでも44年が過ぎている。 文学賞というものを貰ったのは、「田村俊子」で第一回田村俊子賞を受賞した。 「夏の終り」で第二回女流文学賞を受賞した。 「…

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『100歳まで読書「死ぬまで本を読む」知的生活のヒント』(轡田隆史著)は、僕と思いが一緒だった

『100歳まで読書』(轡田隆史著)は、僕は、本の題名に惹かれて買った。これが面白い。読書の醍醐味を縦横に描きあげていた。100歳になっても「ぼくは死ぬまで本を読む」。人間に死はあっても、読書に「死」はないのである。だから、死んでも読書はつづけられるのである。「さらば読者よ、何歳になったって元気でいこう。絶望するな」と。 ー最も大切なこと。それは身体よりも精神が歩くことだ。だから、死ぬまで本を読…

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百田尚樹の作家作品にのめり込んでいる

確か、百田尚樹著『海賊と呼ばれて男』を初めて読んで、百田氏の、作品の面白さを感じました。それで、その後、いくさつか百田氏の作品を愛読しました。 それが、安倍晋三氏が、百田氏の愛読者になったことを知ってから、百田氏に不信感をもつようになりました! 安倍晋三元首相が亡くなり、偶然、『戦争と平和』『永遠の0』を最近読了しました。感動しました!これから、じっくり百田尚樹の文学世界を堪能したくなりまし…

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第33番目『日本人の宿題ー歴史探偵、平和を謳う』(半藤一利著)は、いまの日本の人たちは近代日本史をほとんど知らない。これは国家の将来を考えると、わたしは非常にいけないというか、危険な事だと思います。わたしたち日本人とは何かというのは歴史の中に全部出ていますから、と

 「勝利病」のまま突き進んだ日本  わたしは、文芸春秋に入り、最初に担当した作家が、戦後すぐベストセラーになった『連合艦隊の最後』という本をお書きになった伊藤正徳さんという元新聞記者の方でした。 「君、このままこの勉強を続けていきたまえ。大事なことなんだから」 それでわたしは「そうか」と思いまして、そのまま。 ー縦の関係ですね。 これは歴史ですから、ずっと繋がってきているわけです。 日本は旅順…

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第32番目『幸せになる聞き方・話し方』(五木寛之著)は互いに言いたいことを言い合えるのが対談の面白さですと

対話の中に発見がる  違った意見の交換をするということが、ものすごく大切なことなんです。  対話の相手は、その人の立場、職業を選ばずーという考え方です  対話の相手は、 どんな方であっても、時間が許せばお話させていただく。 都はるみさん。 遠藤実さん。 美空ひばりさん、非常に理論的な方だとわかってびっくりしたものです。  相手に構える隙を与えないせいか、その人の本音が聞けたあように思いま…

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第31番目『人生をいじくり回してはいけない』(水木しげる著)は、好きな道で60年以上も奮闘して描き続けてこれたから私は自分が幸福だと思っていますと

 現在、山梨県立博物館で『水木しげる 魂の漫画展』を開催しています。僕は、水木しげるのエッセイが好きだから展示を見て、このエッセイ集を買ってきて読了しました。 ー水木しげるの仕事と意見  8月末までに原稿用紙300枚で、『ねぼけ人生』というのをやることになっている。人生はあくせくしなくとも、どうにかなるというような話を書くつもりです。 『ガロ』。これには今までの「英雄」とか「道徳」とか「変な…

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第30番目『楽天道』(佐藤愛子著)は、人生というものは、全くうまく行かない仕組みになっているものだな、とく

 魅力ある人  私が敬慕する大詩人吉田一穂先生。 「女にものは書けないよ」 「いつも自分を正しいと思っている奴に、ものが書けるわけがないんだ・・」 人生とは、己のうちなる矛盾を生きることだとこの頃身に染みて思うようになった。魅力ある人とは、その矛盾を矛盾のまま、いつまでも内蔵している人だ。  楽天的知恵  楽しく歌を歌えば楽しくなる。その歌は人に聞かせるためではなく、自分のために歌う。悲し…

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第28番目『新渡戸稲造』(杉森久英著)は、新渡戸稲造は、日本と米国の間に橋を懸けようと努力した人、しかし、懸らず失意のうちに死んだという

一高に招かれる  新渡戸稲造にとって、学問と社会とは、分かち難く結ばれていた。学問はそれ自身のためにあるものではなく、社会の進歩と人間の幸福のためにあるものだった。あらゆる場合に、新渡戸は学問の効用ということを考えた。  敬愛と反発と  漱石は若いころ、稲造の教え子だったようである。  夏目漱石が成立学舎で学んでいたころ、同じ学生として、新渡戸博士がいたと書かれている。 この塾舎の学生と…

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第29番目『しあわせの源流』(遠藤実著)は、一介の歌創りの私が、戦後間もなく14歳で社会に出て歩いて来た60数年の道のりで得たことを書いた、と

すばらしき出会いにかんしゃ 遠藤実  私の原メロデイー  疎開をして淋しい思いをし、こうした少年の頃の出会いがなければ、 人生を歌に託すことができたかどうかわからない。  「歌」を細胞に沁みつかせ  私が、歌手に憧れ、歌手になりたいと夢を持ったのは、岡晴夫さんの『東京の花売り娘』をきいてからだった。  充たされない思いを糧にして  「中学講義録」や記章、学生証を手にいれたものの、せっ…

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第26番目『倍賞千恵子の現場』(倍賞千恵子著)は、私は女優になるべくしてなり、歌手になるべくしてなったんだと。自分で土を踏みならし、自分の道を自分でつけていこうと。自然体で無理せず、少しがんばろうかな。

何気なく動いて背景を演じる  山田洋次監督の映画の画面が深く、全体が躍動しているように感じるのは、奥行きまで人間が生きているからなんだと思います。  『幸福の黄色いハンカチ』のきっかけ  私の妹の美津子が親しかった縁で、私はジャズミュージシャンの渡辺貞夫さんのお宅にレコーデイングのご相談のために伺って。 そこのお嬢さんが「千恵子ちゃん、すごく素敵な歌があるの」と、 ドーンのヒット曲「幸せの…

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第25番目『烈しい生と美しい死を』(瀬戸内寂聴著)は、2011年は、大逆事件で12人の死刑が執行されて100年目、平塚頼てう主宰の「青とう」が発刊されて100年目。現代の若い人たちに、この当時の事件や日本人の思想を識って欲しいと

 私は、この時代を書き、「青とう」やらいてうについても度々書きながら、この世では一度も彼女たちに逢っていない。田村俊子にも、野枝にも、紅吉にも逢っていない。 私はらいてうに逢えば、その強い個性に圧倒されて、書けなくなりそうな気がしていた。 紅吉は、 圧倒されそうですぐには近寄る気にはなれなかった。 「青とう」の同人では、小林歌津には度々逢っている。  恋はある日突然、雷が落ちるようにその人の上…

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第24番目『土に命の花咲かそ』(加藤登紀子著)は、絶望を希望へと転換させるために必要なのは、生きることへの誇りと自信!と

抱きながら、抱かれている 長女美亜子が誕生した時、私は28歳。 夫、藤本敏夫は、獄中にいて。 2番目の八恵が生まれ。 3番目の美穂が生まれた。  空の下で生きて来た  中国ハルビンで終戦をむかえた。 私の1歳8カ月。 それから1年後、 1946年9月。その時、私は母の背中にくくりつけられて、空を見ていた。「オウチヘカエロウ」私が言えたはじめての言葉。 1枚のござが「おうち」だった。 「明日…

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第22番目『ご縁をいただいて』(片岡鶴太郎著)は、自分が何を考えているのか、何に感動しているのか。今の自分を正直に表現すること、真っ直ぐでありたいと思う気持を表すこと、と

魂の声に逆らわず  椿を描けるようになりたい。 39歳のときのこと。 その声は「絵を描け、絵を描け」と言う。  絵を描くということ  生身の自分とか生きることの意味。 僕の魂が求める、魂が喜ぶような考えぬいた「生」でありたい。 もっともっと深く人間として生きていきたい。 絵を描くこと。生き方のひとつだ。 絵を描く行為を通して魂が求めているものに応える作業をしているのである。 自分の魂を表現…

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第21番目『土石流』(依田茂夫作)は、登校途中の田代良雄は土石流に巻き込まれ亡くなった、と

『土石流』は、『谺』60号所収の、編集発行人である依田茂夫氏の小説作品である。この同人誌『谺』を、今も発行され、この同人誌には、依田茂夫氏の作品だけが載っている。  ー『土石流』  「和良はどうするんだって」 「うーん、大工さんすることになった」 「そう、20年、30年後の和良を見たいよ」 それで運よく彼女の名前が「緒方美智子」だと知れたのである。 緒方美智子を想い眠れなくなった。 中学生と…

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志賀直哉著『暗夜行路』は、感動の人生小説でした。素晴らしい!

美伊南さん、はな花」さんの、ご指摘の通り、『暗夜行路』は、最後まで、僕は、目を通し、感動して読了しました。 ー 第ニ  五 彼は心から自分の孤独を感じた。 何といっても感情的に、一番近い人間はお栄だ。 六 お前は母上と祖父上との間に出来た子供なのだ。 七 君が言いにくいことを打ち明けて下さったことは本統にありがたく思いました。 母上のこと、今は何も書きたくありません。しかしそういうことの母上に…

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第19番目『旅のつばくろ』(沢木耕太郎著)は、著者の16歳のときの東北一周旅行、夜行列車を宿に、12日間の「大旅行」を踏まえた、日本国内の旅の話を書く

皮膚が変わる  日本に帰ったら最初に似にを食べたいか、何をしたいか。 何をしたいかということになると、「温泉に行きたい」という。 災厄をもたらす自然が、恵みをもたらす自然ともなる。  絵馬の向こう側  絵馬の中に、 多くの外国語のものが混ざっている。 絵馬に願い事を書いて吊るすというところまでやる観光客だったのだ。 絵馬に書かれたその願い事。 彼等の視線は明らかに世界や異国に向けられていた…