蕗の薹数個芽吹いて早緑に



 あめふらしの木の芽和添ふ隠岐の膳   松崎鉄之介

 あかつきは薄き汗して芽吹山  能村登四郎

 あをき画布に神の点描木の芽張る  林翔

 そこらじゆうつながつてゐし芽吹山   岡井省二

 とぶ雲の光り木の芽にうつろへり  高浜年尾

 これはまた子持ちうぐひに木の芽味噌  細見綾子

 このみちいくねんの大栃芽吹く  種田山頭火

 にびいろに空おだやかや芽吹き山   森澄雄

 月光の綾目もわかぬ木の芽谷  飯田龍太

 春雪に地熱の色の木の芽かな  林翔
 
 燗酒をいつものかげん木の芽和へ  鷹羽狩行

 胡桃芽ぶく雨の朝市よぎりゆ