連載:俳句帳

三月の俳句帳(131)令和六年3月31日

1)筧より零れる滴(しずく)余寒なお

2)春寒を抱へ帰宅の急(せ)くトイレ

3)二畳狭(せ)ま黒楽椀の茶室春

4)春のたり甲羅(こうら)干したり堀川辺

5)濠水の動きが消えて鳥帰る

6)鳥雲にガランと空きし濠水面(みなも)

7)過疎の春架かる虹観る人少な

8)春愁やショパンノクターン窓辺聴く

9)昏(くら)茂み飛び出す黄蝶光射す

10)口笛に鳴禽(めいきん)呼応(こおう)初音(はつね)庭

11)蹲踞(つくばい)へ注ぐ水音揺らぐ春

12)紅椿一枝(ひとへ)花瓶に客茶室

13)菜の花や足許照らす夕川辺

14)川散歩吹き降りほっと土手