思い出の京都~京都迎賓館 8

「夕映えの間」から「藤の間」へ移動する際にガラス越しに庭園が見えました。
和の迎賓館として、庭は非常に重視されました。造園の棟梁を務めた佐野藤右衛門さんは「庭は、用と景を考えなあかん」と話しました。
 京都盆地の特徴で、土地には2メートルの高低差がありました。池を中心に建物が配置され、どの部屋も庭に面しています。必要な導線を考慮しながら、部屋から眺める景色を計算、もちろん季節による植物の変化も織り込まれています。
 「景」を作りながら「用」を成している例は、随所にあります。例えば、西向きの部屋の外に、落葉樹を配しています。夏の強い西日は緑に遮られ、冬の暖かな陽光は木々の間から差し込みます。畳や建物の焼けを防ぐことにもなります。
 庭には、加茂七石がすべて使われています。その中の一つ真黒石は、京都迎賓館の掘削工事で出てきました。州浜の石も地中から出てきたものを使っています。塩田の石や橋の欄干石も再利用。「あるものを使うのが京都のやり方」と佐野さんは説明しました。
 アイデアはどこから来るのか。佐野さんは「すべて現場が教えてくれる」と言いました。現場は庭だけではありません。「酒飲みに行っても、ボトルの置き方がきれいやったら、何でやろ、としっかり見る。遊んでるだけではあかん」と言いました。
 佐野さんは桜守でも有名です。円山公園の祗園枝垂桜も佐野さんの手がかかっています。

撮影:2018(平成30)年12月13日

コメント