思い出の京都~京都迎賓館 14

この桐の間は、和食を提供する「和の晩餐室」です。最大24名までの会食が可能なこの部屋では、京料理でおもてなしするそうです。
食事中に、芸舞妓さんによる舞や琴の演奏などが行われ、宴席に彩を添えています。
中央に据えた、長さ約12メートルの座卓。漆黒の塗りに、天井からそそぐあかりが映っています。ゆがみのない、完ぺきな美です。
ここまで大きな一枚ものを塗り上げた経験は、誰にもありませんでした。担当した光工芸社の島博行社長は「よくぞ仕上げた、という思いのみです」と振り返えりました。
丹念に塗りと研ぎとを重ね、美しいつやを出す「本堅地黒呂色仕上げ」という手法を用いました。木地は等圧合板。最後の仕上げの磨きには、3人の職人が、5日を費やしました。朝から晩まで磨き続けた手は、左右ともにやけどを負ったようになったといいます。
あと1月ほどで完成という時、父親が亡くなり「技術を伝承しなければ」との思いがより強くなったそうです。「食卓という用途上、傷はついても、修理すればいつまでも美しく使えます」と島さんは胸を張りました。

撮影:2018(平成30)年12月13日

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