乾瓢や水引かけてお中元 村上鬼城 紙伸ばし水引なほしお中元 高濱虚子 中元のいつもの画なる団扇かな 水原秋桜子 中元や西瓜どかんと熨斗もなく 大野則水 お中元素麺木箱に詰められて アロマ どら焼も虎焼きもきてお中元 飯島晴子 亡き母の杖の長さの苧殻買ふ 樋口嘉江 人形町夕べの苧殻買ひにけり 森本芳枝 人散りて売れ残りたる苧殻かな 高濱虚…
妻の来し秩父民宿木の実降る 弦巻 玄 民宿に金魚けんらん海鳴る日 野澤節子 民宿に飼はれてをりし七面鳥 安斉君子 民宿のうらも民宿蕎麦の花 橋本榮治 逆旅 民宿のシーズンオフの寒櫻 長谷田 義人 民宿のすこしゆがめる秋障子 百合山羽公 寒雁 民宿のバケツに大きな不鯛かな 森英子 民宿の屋根にしぶきて大夕立 里見宜愁 民宿の海荒るる日を冬仕度 鈴…
晩涼や宿屋の並ぶ大門町 田中冬二 俳句拾遺 琵琶弾いて誰ぞ秋惜しむ瀞ホテル 高橋淡路女 梶の葉 氷雨東京 ひとりで寝ろと ホテルの鍵 伊丹三樹彦 樹冠 武家屋敷めきて宿屋や百日紅 高浜虚子 風通しわるきホテルや巴里祭 成瀬桜桃子 風色 仏法僧人は宿坊の戸を閉さず 瀧春一 菜園 本願寺門前旅館蚊の名残り 角南星燈 本人にとほき宿坊新豆腐 皆吉爽雨 …
岬に茶屋ゆで栗並べ通ひ婆 河野南畦 湖の森 民宿の茶請けの栗の渋皮煮 高澤良一 燕音 鳴く虫をあらはに見つゝ栗拾ふ 秋櫻子 木曾仔馬青栗のいが道にでて 森澄雄 木肌ひゆる風重し灯に栗拾ふ 金尾梅の門 古志の歌 夜も昼も醒めてゐるなり虚栗 小泉八重子 夜を長く長く使ひて栗を剥く 高澤良一 寒暑 夕月の色のいよいよ栗きんとん 高澤良一 石鏡 落ちてす…