「ジュリーニ」の日記一覧

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ブラームスの 交響曲第4番と 悲劇的序曲をジュリーニの指揮で聴く

2021年10月以来の鑑賞。 これで、ジュリーニのブラームスの全集4枚を聴き終える。 交響曲第4番。 ため息にも似た印象的なテーマは哀愁とロマンの香りを帯びたもの。ジュリーニの演奏は水彩画のような淡さ、儚さが漂う。このテーマは何度となく繰り返される。常に濁りのないオーケストラの響きによって情感豊かに奏でられるものの、作曲者の胸中には遠い日の回想、後悔、憧れなどが去来していたかもしれない。時に人生…

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ブラームス/ 交響曲第3番& ハイドンの主題による変奏曲をジュリーニの指揮で聴く

2021年10月以来の鑑賞。 交響曲第3番。 第1楽章の2つのテーマのコントラストが印象深いが、全体としてはロマン的な気分が強く、抒情あふれる音楽だ。ジュリーニの演奏にはくどさがなく、オーケストラも透明感のある純度の高い響きを保つ。 第2楽章はアンダンテ。素朴で質素な音楽は聴いていて心がやすまる。郷愁を誘う音楽でもある。そして、次の楽章のテーマを予感させる楽句も感じとることができるジュリーニの演…

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ジュリーニの指揮で聴くブラームスの交響曲第2番

2020年10月以来の鑑賞。 牧歌的で遥か彼方に連なる山の峰々を望むようでもある冒頭の音楽はしっとりとしたウィーン・フィルの響きにより、またジュリーニの節度を持った指揮によって、静かに心にしみ渡る。一方、音楽が進む過程の所々に聴く峻厳とした趣もあり、ブラームスの交響曲の奥深さの一端に触れる。一音たりともゆるがせにしないというジュリーニの静かな決意が伝わってくる。 第2楽章のアダージョはブラームス…

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ジュリーの指揮で聴くブラームスの交響曲第1番

2021年10月以来の鑑賞。 第1楽章の独奏的な開始は印象深いものがある。ミュンシュ、カラヤンの演奏が、高い評価を得ているが、自身はベーム、ジュリーニをそして、ザンデルリンクの演奏を評価したい。というのも、無理な力が入っていないからだ。そうした意味ではバーンスタインの演奏も評価したい。ザンデルリンクを除いて、いずれも、ウィーン・フィルによる演奏だ。ベームも、バーンスタインも、そしてジュリーニも、…

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ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」& 交響曲第4番をジュリーニの指揮で聴く

2019年3月以来の鑑賞。 ライブ録音であることを告げられていなければ、そうとは判断がつかないかもしれないほど、音が良い。 ジュリーニは例によってゆったりとしたテンポで音楽を進める。第1楽章で20分を超える演奏には接したことがない。しかし、全く停滞感はない。主旋律はもちろん、内声部もくっきりと浮かび上がる。ジュリーニの一音たりともゆるがせにしないという信念のようなものがあるのかもしれない。 …

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シューベルトの 交響曲第4番「悲劇的」他をジュリーニの指揮で聴く

2019年2月以来の鑑賞。 ロッシーニ:歌劇「セミラーミデ」序曲。ジュリーニの演奏は正にこの悲劇的な歌劇の内容を予感させるものであり、軽快さと重厚さを併せ持つ。バスドラム、ピッコロ、そして肌理の細かい弦の響き。録音状態も満足のいくものだ。 シューベルト:交響曲第4番「悲劇的」。 ベーム、コリン・デイヴィス、そしてアバドのなどの演奏を聴いてきた。ジュリーニの演奏の良さは、序奏のアダージョ…

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ラヴェル /「マ・メール・ロワ」組曲・左手のためのピアノ協奏曲 ・ドビュッシー /交響詩「海」をジュリーの指揮で聴く

2019年1月以来の鑑賞。 ラヴェル:「マ・メール・ロワ」組曲。 クリュイタンスとデュトワで聴いている。ジュリーの指揮によるものはこのCDが初めて。ベルリン・フィルの精緻極まりない合奏と、ソロ的に扱われるときの名手たちの演奏は絶品。何よりジュリーニの演奏は柔らかく、ゆったりしている。音楽の流れは、潮の干満のようでもあり、力みのない美麗さを伴う。耳障りな音は一つもない。 左手のためのピア…

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ロッシーニ の「スターバト・マーテル」他をジュリーニの指揮で聴く

2019年1月以来の鑑賞。 今回は、ロッシーニの「スターバト・マーテル」から聴いた。この曲はムーティ指揮のCDで聴いている。 第1曲はイントロダクション。深い悲しみに覆われた音楽だ。 第2曲のアリアは行進曲風で、ヴェルディのオペラの一節と聴き間違えるほどだ。そういえばロッシーニの歌劇「セミラーミデ」にも似たような箇所があったような気がした。歌っているのはテノールのルケッティ。 第3曲はソ…

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ハイドン /交響曲第94番「驚愕」, マーラー交響曲第1番「巨人」をジュリーニ指揮で聴く

2019年2月以来の鑑賞。 ハイドン:交響曲第94番「驚愕」。 この曲は、カラヤン、ホグウッド、リヒター、ミンコフスキーなどの演奏で聴いている。アダージョの序奏に続く主部は、モーツァルトを思わせる典雅さがあり、ジュリーニの演奏は旋律をよく歌わせる。力みのない余裕を持った指揮ぶりがイメージできる第1楽章だ。 第2楽章は有名なアンダンテ。弱音でのオーケストラの奏でる響き美しさはジュリーニならで…

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チャイコフスキー /ヴァイオリン協奏曲 、ドヴォルザーク/ 交響曲第7番他をジュリーニの指揮で聴く

2019年2月以来の鑑賞。 ムソルグスキー:歌劇「ホヴァーンシチナ」前奏曲。 曲自体の美しさもあるだろうが、やはりジュリーニの旋律をよく歌わせながらも気品を保ち続ける指揮により、演奏は高貴な佇まいを見せる。 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲。 この曲は、ハイフェッツ、ムター、諏訪内、そして、デユトワの指揮によるチョンの演奏などで聴いてきた。録音当時25歳のチョンのヴァイオリンは瑞…

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マーラー の交響曲「大地の歌」をジュリーニの指揮で聴く

2016年5月以来の鑑賞。 アライサは、モーツァルトの歌劇「魔笛」、「後宮からの誘拐」、R・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」における歌手役等でその名演唱に接してきた。 ファスベンダーも、歌劇「ヘンゼルとグレーテル」、R・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」におけるオクタビアンの演唱は強く印象に残っている。 この演奏はライブ収録だ。アライサの歌う第1曲目は正にマーラーの激情のうねりのようだ。その…

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ジュリーニの指揮で聴くブルックナー 交響曲第8番

2019年2月以来の鑑賞。 この曲もいくつかの演奏を聴いてきた。カラヤン、ヴァント、フルトヴェングラー、チェリビダッケ等々。ジュリーニもウィーン・フィルの演奏で聴いている。 この演奏の第1楽章を聴くにつけ、ジュリーニの演奏には気品と清浄さがあることに気づく。深い森の中で吸い込む空気は、身体の中の不純物を取り除くようでもあり、かすかな葉擦れの音も心地よく聴こえる。視界が開けると、満々と水を湛え…

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ブルックナーの 交響曲第7番をジュリーニ指揮で聴く

2019年2月以来の鑑賞。 第1楽章の冒頭は、はっとするほどに美しい演奏だ。ジュリーニの演奏には気品があり、高潔さが漂う。例によって主旋律も内声部もくっきりと浮かび上がり、音楽は立体的だ。録音の状態もライブながら大変良い。この曲もヴァント、2種類のカラヤン、クレンペラー、そして、ウィーン・フィルとのジュリーニの演奏も聴いていたが、ベルリン・フィルとの録音はこれが初めてだそうだ。 第2楽章のア…

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シューベルトの 交響曲第8番「未完成」・ 交響曲第9番「ザ・グレイト」をジュリーニ指揮で聴く

2019年2月以来の鑑賞。 交響曲第8番「未完成」。 第1楽章はテーマの歌いだしから、仄暗さをまとった音楽には一切の夾雑物を排した感がある。加えてジュリーニの演奏からは気品が感じられる。決して力で押し切ることはない。ヴァイオリンはもとより、ヴィオラやチェロの歌わせ方にも嫌味がない。従って、演奏からは深い哀切がにじみ出る。 第2楽章のアンダンテもまた素晴らしい。雲間から射し込一条の光を見るよ…