著者は東京下町の生まれ、両親が離婚し、母親に育てられた。どちらかと言えば貧しい家庭のはずだが、下町の家庭はどこも似たようなもの。小学校を卒業すると今なら証券会社の外交員になり、そこそこ稼いだようで若いながらもいいものを食べている。貧乏性の私には今でも料亭など近寄ることもない。著者が生きたのは戦前、戦後の前半でまさに昭和の時代。著者の食通は孤独のグルメとは異なる、下町の人情も濃厚に絡んでいる気が…
関東に住んでいると、やはり、寿司といえば、にぎりを想定する。マグロ、イカを注文し、醤油をつけて、一口で食べてしまう。最近は、江戸前に、ワサビを入れないパックもあるので、注意して買わねばならない。近所に3軒あった寿司屋は、ここ20年の間に、全部姿を消した。大手スーパーで、安いものは6~700円で1人前が買えるし、回転寿司も、それほど高いわけでもないので、食べに行くこともある。だから、寿司業界も、…