「地図と領土」 ミシェル・ウエルベック (著)、野崎歓(訳)

☆☆☆☆★

フランス現代文学の巨匠、ミシェル・ウエルベック の作品を初めて読んだ。

ほとんど何の予備知識もなく、読み始めたのだが、序盤から作品に引き込まれる。

主人公の、天才画家・写真家のジェドの人生と、それに関わりのある数少ない人々(父、作家ウエルベック 、恋人)の生き様を描いた小説で、フランスのロマン主義レアリスムの再来のような作風である。

小説の中で、ジェドは、幾つかのまったく異なる主題、手法のアート作品シリーズで大成功するのだか、その構想がユニークで面白い。ここはもちろんフィクションなのだが、そういう構想のアートが本当にありそうに思える。