★3.5 シリーズ4作目。
昭和10年、松蔵も26歳になっており天切りの独り立ち。とはいうものの黄不動の栄治が血を吐きサナトリウムに入って、必然的にそうなった。
各所に戦争の影が色濃く反映され、80年後にそれを語る松蔵は軍部を痛烈に非難する。
今回の軸は東郷平八郎邸に忍び込んだ松蔵、なんと寝室で待ち構えていたのは本人、俺がおはんに二ツ名をくれちゃる、「天切り松」でよかろうと。
俗にいう「ホラ話」ではあるが、読者を続けて読む気にさせるのは、物語にある筋目、そしてテンポのいい展開、最後に明かす「目細の安」一家それぞれの人情だろうか。
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