「小説家の休暇」 三島由紀夫著

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三島由紀夫の作品を読むのは何十年ぶりだろう。「金閣寺」、「潮騒」、くらいは読んだが、あまり波長の合わない人なので、それ以上、特に読みたいと思ったこともなく年月が過ぎた。過日、岡田 暁生さんの「音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉」を読んでいて、三島のこの本の内容に触れたところがあり、興味を持った。

この本は、「小説家の休暇」という日記風の読み物に、文学、演劇、美術などに関するエッセイを加えた文庫本である。

岡田さんがこの本に言及したのは、三島が音楽に対する警戒感を表しているくだりである。「小説家の休暇」のなかで、三島曰く、 「理知と