連載:宗教

『沈黙』のロドリゴ

遠藤周作氏の『沈黙』が映画化されたと話題になっているようだ。この小説が世に出されたとき、自分は思春期で、この小説のことは知っていたが読まなかった。今回の映画化で、ストーリをWikipediaで知ったくらいの知識しかない。

出版当時、読まないと思った背景を、なんとなく記憶している。この話の中でクライマックス部分にあたる、踏み絵による信仰の見極め場面に、どことなく違和感を覚えたからだ。踏むとか踏まないという人間の行為に、ことさら重きを置く視点にどこか違和感を覚える。これは小説の主人公のロドリゴが嵌っている陥穽のようにも思う。

信仰を持つとか、棄教するとか