長辻象平の「半百の白刃  虎徹と鬼姫 上下」。

★3.5 刀工虎徹の半生を描いた伝奇風の娯楽作。
作刀の蘊蓄はかなり深いものがあり、物語をより面白くしている。山本兼一の「いっしん虎徹 」があるが読み比べるとまた面白い。

越前の甲冑師だった長曾根興里は戦のない世となり、50歳の前に江戸に出て刀作りをはじめた。

自己流の鍛刀を持ち込んだ刀商で出会った鬼姫という娘に誘われる。試斬家を生業とする旗本・鵜飼十郎右衛門の娘・邦香だった。

この邦香に見込まれ、尾張柳生に刀を認められ自信を得て更なる工夫を。芽を吹く興里の名声を妬む同業者は刀試しを仕掛ける。そして吉原の勝山太夫やら山野加右衛門やらが現れ由比正雪の