森真沙子の「朝敵まかり通る  時雨橋あじさい亭3」。

★3.5 シリーズ3作目。文久3年(1863年)、あじさい亭の絡むほっこりした物語が続き、最後の2/5ほどは慶応4年(1868年)の3月へと移る。

主人公の山岡鉄舟が駿府の大総督府の西郷に会いに行く場面である。鉄舟が義兄・高橋謙三郎(泥舟)に推挙される経緯や、同行する薩摩の益満休之助を牢から解き放つ話などは面白い。

作者があとがきで「大川端生まれの江戸っ子で色道修行に励み、親戚中から絶縁された奥さん泣かせの大放蕩者」としているが、本書の方が実像に近いのかも。

山本兼一の「命もいらず名もいらず」も面白かったが、鉄舟を超人のように描いていた。常人には理