寂れたベッドタウンの犯罪

 若竹七海の「殺人鬼がもう一人」を読了した。著者はミステリー畑の作家である。本書は、悪徳?女性警察官砂井三琴を主人公とした、ミステリーの連作短編集である。
 物語の舞台は、都心まで一時間半の、今は寂れたベッドタウン東京都辛夷ヶ丘市であり、主人公は場末で暇な所轄署の辛夷ヶ丘署生活安全課捜査員で、身長178cmの大女の砂井三琴である。彼女は元敏腕刑事だったが、不倫のために左遷されて来たとの噂があるが、事実か否かは誰も知らない。彼女の夢はただ一つ、定年まで無事勤め上げ、たっぷりと貯金をし、年金を貰って優雅な老後を送ることだけである。彼女の相棒は、身長が彼女より