あさのあつこ の 弥勒の月

最新勘の「鬼を待つ」に登場の源庵が「清之介の妻・おりんを死に至らしめ、信次郎に片腕を落とされた」とあるが、その経緯を全く忘れ去っている。この際、再読して信次郎と清之介のキャラ設定の源を探ってみることにした。

本作は作者が初めて時代小説を手掛けた作品で出版(2006年2月)から13年も経過したことになる。

《弥勒の月の事件》
本所二ツ目橋で深川森下町の小間物問屋・遠野屋の若おかみ・おりんが身投げした。水死体を見聞した北町の定町廻り同心・小暮信次郎は現れた遠野屋の主・清之介に違和感を覚える。そして身投げ前のおりんを目撃した履物問屋の主・惣助が斬殺死体で発