連載:家族

江戸川乱歩と父(3)小酒井不木と江戸川乱歩(1220)

 さて、ここで一変する。小酒井不木と江戸川乱歩の関係に。
 江戸川乱歩(本名・平井太郎)は、大学在学中から、また大学卒業後、職業を実に転々としている。在学中には、活版小僧、写学生、政治雑誌編集部員、図書館貸出係、英語の家庭教師など。また卒業後は、大阪貿易商の許約1年、造船所事務員、団子坂での古本屋、「東京パック」編集者、中華ソバ屋、市役所吏員、時事新聞記者、大阪毎日新聞広告部員と言った有様だったという。
 清張は、作家になるには出来るだけ多くの職業を経た方がいいとすら述べている。
 乱歩が最初の創作もの「二銭銅貨」を書き上げたのは、自分の経験から失業時代