連載:あけび庵の日記

あけび庵の日記

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あけび庵の日記
俳人 松本たかしの俳句
高浜虚子に俳句を学び『ホトトギス』の同人、のちに
自ら『笛』を創刊、主宰した俳人です。松本たかしは、
1906年(明治39年)宝生流能楽師・松本長の長男とし
て東京に生まれました。その後病を得、二十歳の時に
能楽師の道を断念、俳人の道に進む。

山深く逢ひし焚火や一あたり
冬ざれや吾が現れし多摩河原
空色の水とびとびの枯野かな
地の底に在るもろもろや春を待つ
今日となり明日となりゆく石蕗の花
さしのぞく木の間月夜や浮寝鳥
鶏頭を目がけ飛びつく焚火かな
鶏頭のぐわばとひれ伏す霜の土
日を追うて歩む月あり冬