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「魚の目が怖くて」

「ごめんね、この前いただいた太刀魚ね、私、あの目が怖くて切れなかったの。だから、近所の人に上げるって言ったら、切ってくれてね。半分こしたのよ。塩焼きにしたら、凄く美味しかった。」

私は一気にまくしたてる。なんせ嬉しくて仕方ない。

「この前落ち込んでるって話したでしょ。私新潟のど田舎で生まれ育ったから、1匹丸々の魚を切るなんて平気だと思ってたの。

ところが、太刀魚見たらもう怖くてね、やっぱりメンタルやられてると思って、心療内科行こうかなと思ったの。だけど、何か違うなと思って。自分で病気だと思い込んでるだけだって。」

「そうよ、魚の目が怖くて切れない