坂井希久子 の とろとろ卵がゆ 居酒屋ぜんや8

★3.3 シリーズ8作目。
寛政5年(1793年)葉月、月見団子の話で始まる。腹をすかせた10歳のお梅が団子を盗んで袂に入れていた。薄汚れた頬に涙が一粒こぼれ詫びるお梅。あの「安穏河原」の情景を思い出す。

勝川春朗という絵師がお妙の絵を描くことになった。葛飾北斎の若かりし頃なのかな。

この年の大火で神田花房町の〈ぜんや〉は全焼した。只次郎と逃げるお妙は、火を見たことで封印していた幼い頃の両親を襲った火事の事を思い出す。両親は賊に襲われ殺されてから火を放たれたのだ。

花房町を焼け出され升川屋に身を寄せ、呆けたようなお妙に何と只次郎が〈とろとろ卵がゆ〉