「坂井希久子」の日記一覧

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坂井希久子 の「つばき餡 花暦 居酒屋ぜんや」

★3.3 新シリーズ5作目。今回の大きな事件は、只次郎の姪・お栄が15歳で大奥をお暇になったこと。将軍の伽を断ったことで、病として暇を出されたことにされたのである。仲御徒町の実家の父親(只次郎の兄)・林重正はすぐにも嫁に出そうとする。逃げ出したお栄はぜんやに転がり込んで、隣の春告堂の2階でお花と寝泊まりするようになった。只次郎に似た町人気質のお栄の活躍も期待できる。 升川屋の離れに引き取…

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坂井希久子 の 「蓮の露 花暦 居酒屋ぜんや」

★3.3新シリーズ4作目。 お花の拾ってきた鶯の卵はサンゴが温め雛が生まれたがまだ雄雌判別できないが、お花がヒスイと命名した。お花15歳、熊吉19歳。 そのお花が誘拐された。熊吉は必死に探し、突き止めた場所はあの近江屋である。賊は〈蓑虫の辰〉一味、予想通りお花の母親のお槇、チロ吉、七声の佐助がいっしょである。 熊吉は牽牛子(けんごし)を酒に仕込んでもらった。朝顔の種を砕いて粉にした…

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坂井希久子 ねじり梅 花暦 居酒屋ぜんや13

★3.4 新シリーズ3作目。熊吉19歳、お花は15歳。お花は考えていることが幼なすぎのような気もするが。今回は4つの大きな出来事。 熊吉の名をかたり、俵屋に押し入ろうとした賊らは、見破られ失敗したこと。ぜんやの客で蟷螂男が絡んでいるよう。隠居の元与力、柳井様は大きな賊の組織を推量する。 更にお花の実母であるお槇が5年ぶりに現れた。一味と関係あるのかお花に近づく訳は。猛毒の附子(鳥兜)…

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坂井希久子 の 萩の餅 花暦 居酒屋ぜんや

★3.3 新シリーズ2作目。 お花14歳、熊吉18歳のまま。酒問屋升川屋のお志乃が娘を生んだ。長男の千寿は8歳。裏長屋のおえんの娘・おかやも7歳、お花に絡む話はおえんゆずり。 今回の主軸はお花が女になった話と、熊吉の薬種問屋・俵屋内での成長譚。 しばらくは、お妙から季節料理を学ぶお花と俵屋内での新薬開発に携わる熊吉の物語が主流となるのか。 妙の父・佐野秀晴が作った精力剤「龍気養生丹」と廉価の「…

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坂井希久子 の すみれ飴 花暦 居酒屋ぜんや 11

★3.2 第2部初作。 前回から5年が経過した寛政11年(1799年)、お花14歳、薬問屋「俵屋」の手代となった熊吉は18歳となっている。物語はこの2人の視点で語られるので雰囲気もガラリと変わった。ちなみに只次郎29歳、お妙35歳。 鶯のルリオとメノウは既に亡く、子のハリオも熊吉のヒビキも8歳でそろそろ寿命か。久世丹後守のところのタマオも既に亡い。跡継ぎもできずに寂しい限りである。 今回は、…

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坂井希久子 の さらさら鰹茶漬け 居酒屋ぜんや10

★3.5 最終巻。一夜の深い仲も、気楽な間柄でいいと夫婦を拒まれた只次郎は武家を捨てる決断を。ご隠居に菱屋の養子といういう名目を許され、兄の重正に承諾を得たのである。寛政6年(1794年)林只次郎24歳、お妙30歳となっている。 お妙の両親、前夫を巻き込んだ事件の黒幕は一橋治済、あの「ぼろ鳶組」と重なる。大奥のお栄からの慈徳院のルリオ調との情報から実父の岩本内膳正へと繋がり、最後に只次郎が呼び…

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坂井希久子 の ほろほろおぼろ豆腐 居酒屋ぜんや9

★3.3 シリーズ9作目。 居酒屋ぜんやは旦那衆の出資で神田花房町代地に再建できた。表店での営業である。只次郎も隣を借り、鴬商いと商い指南の店を始めた。使用人として薬種問屋・俵屋に頼み熊吉を借りることにした。 前回、明らかになった妙の両親の死因、只次郎は黒幕を探索すべく嗅ぎまわるが。大奥に上がったお栄から意外な報せが。ルリオ調の鳴きをする1羽の鴬が家斉生母の慈徳院へ献上されているという。心当た…

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坂井希久子 の とろとろ卵がゆ 居酒屋ぜんや8

★3.3 シリーズ8作目。 寛政5年(1793年)葉月、月見団子の話で始まる。腹をすかせた10歳のお梅が団子を盗んで袂に入れていた。薄汚れた頬に涙が一粒こぼれ詫びるお梅。あの「安穏河原」の情景を思い出す。 勝川春朗という絵師がお妙の絵を描くことになった。葛飾北斎の若かりし頃なのかな。 この年の大火で神田花房町の〈ぜんや〉は全焼した。只次郎と逃げるお妙は、火を見たことで封印していた幼い頃の両親…

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坂井希久子 の ふうふうつみれ鍋 居酒屋ぜんや7

★3.5 シリーズ7作目。 寛政5年(1793年)、ルリオの3羽の息子たちは何と江戸のトップ3に。1羽のタマオは勘定奉行・久世丹後守の用人・柏木に姪のお栄を大奥へ入れる口利きとして。何にでも興味を持ち学びたがる9歳の娘・お栄には大奥が最適と思われたのだ。 もう1羽のヒビキは俵屋の丁稚・熊吉が。残るハリオはルリオの後継として只次郎が育てることに。 今回は只次郎が味噌問屋・三河屋の娘・お浜に惚れ…

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坂井希久子 の あったかけんちん汁 居酒屋ぜんや6

★3.3 シリーズ6作目。 こちらの地方、今年はずいぶんと鶯の初鳴きが早かった。ルリオの3羽の息子たちも、1羽くらいはまともなのが出るのでは。 年が改まり寛政5年(1793年)林只次郎23歳、お妙29歳となった。 近江屋は善助に弱みを握られたために殺め、草間重蔵は川に流すことを命じられたのみ。やはりお妙の父・佐野秀晴は前政権の田沼と懇意にしており、手伝っていた善助や今の馴染みの旦那衆も松平…

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坂井希久子 の つるつる鮎そうめん 居酒屋ぜんや5

★3.5 シリーズ5作目。 物語は急激な進展をみせる。お妙の父で医者だった佐野秀晴は菱屋の隠居ほかの常連と懇意にしていたことが判明。妙の夫・善助は父の薬を売り歩き、彼らとの連絡役だった。 用心棒の草間重蔵は5年前の打ち壊し事件に絡んでいたとの噂。そしてお妙は思い出した、夫・善助の亡骸に薄桃のメダカが。近江屋は深川木場の材木問屋、ルリオの雛を譲ってくれと只次郎にせまるが、新種のメダカを生み出す…

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坂井希久子 の さくさくかるめいら  居酒屋ぜんや4

★3.5 シリーズ4作目。お妙28歳、只次郎22歳、お栄7歳に。佐々木様が突然に病死し、駄染め屋の刑死で事件の真相はうやむやになってしまった。 火事で焼け出された浪人・草間重蔵に、お妙は長屋を世話しぜんやの用心棒に。お妙の草間に対するそぶりに只次郎は焦る。これから草間がらみの話になるのかな・・。 草間重蔵は上野国から流れてきて江戸の麹町に落ち着き、手すさびに木を削って根付を拵え、細々と食いつ…

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坂井希久子の「ころころ手鞠ずし―居酒屋ぜんや3」。

★3.5 シリーズ3作目。 只次郎の父親の上役である小十人頭1千石の旗本・佐々木様のからみが濃厚となった。 糞買いの又三が心中にみせて殺され、駄染め屋が捕らえられたことによる。いずれも佐々木様の指示で動いていた。 只次郎の駄染め屋探索の過程で、危険な黒狗組の賭場へ潜り込みがぜんやでの株を上げた。はじめて只次郎へのお妙の評価が描かれ、義姉のお勝も仲を煽るようになったのである。 ぼんやりとした…

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坂井希久子の「ふんわり穴子天 居酒屋ぜんや2」。

★3.5 シリーズ2作目。 鯛、鮎、蛸、鴨と材料主体の料理がこれでもかと続く。 そして今回は体調の良くない只次郎の母親、やつれた升川屋の若女将・お志乃へと薬膳風の料理に腕を振るうお妙。父親は関西で医者をやっていたという設定からの流れのよう。 そのお妙から男として見てもらえない只次郎の拠り所は鶯のルリオと姪のお栄。 糞買いの又三が姿を見せなくなり、代わりに柳井が店に来るようになった。兄嫁・お…

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坂井希久子の「ほかほか蕗ご飯  居酒屋ぜんや1」。

★3.5 新シリーズ、初めての時代小説とか。 物語は神田花房町の居酒屋「酒肴ぜんや」を中心に、ここに集まる常連と、料理ネタを絡めたよくある話。 主は26,7で1年前に亭主を亡くしているお妙、手伝っているのは義姉のお勝。 100俵10人扶持の小十人番士・林家の次男坊・只次郎は20歳。「ルリオ」と名付けた鶯を保有し、同じ愛好家から鳴きつけ(鳴きの手本)を依頼されて稼いでいる。 寛政2年(17…