「通りまで走るよ」
思い掛けなく先頭が言った。
それまで歩いていた。散歩とは違う速さだが、今までの歩きよりはゆっくりだった。
「今日はゆっくりなんですか?」
「そうでもないよ。」
「この前は付いて行けなかったんです。」
私は2周目に先頭に言った。それを聞いた先頭が判断したのだろう。
久しぶりに走るとキツい。
「歩いてちゃだめだって⚪⚪さんに言われてさあ。」
後ろのコーチが言う。コーチは時々走っている。音でわかる。
「全然違いますよね。」
「両足が宙に浮くからね。」
通りに出ると、また歩いた。次の周で走りに追いつけなくなった。
「追い