連載:俳句帳

11月の俳句帳(91)令和二年11月30日

1)蠟芯(ろうしん)の減り行く焔(ほむら)釣瓶落とし

2)老身の燃え尽く余命釣瓶落とし

3)昏鐘を終えて山寺冬灯し

4)寒月を眺めておりし窓の猫

5)筧落ち四囲の寂静寺の冬

6)初時雨並木彩(いろど)り宵散歩

7)声明(しょうみょう)をエンヤも謡う北の冬

8)入会(いりあい)の鐘鳴り終えて笹子啼く

9)外濠の水脈(みお)を零して塒(ねぐら)鴨

10)いろどりの川辺の木々や踏む落ち葉

11)朝日射す廊下を駆ける冬安居(あんご)

12)鵯(ひよ)鋭声(とごえ)震わす夜気にカボスの灯

13)木洩れ日に散る葉零して庭の秋

14)坪庭の蹲