「昨日がなければ明日もない」宮部みゆき著

杉村三郎シリーズの五作目。第三作までは、主人公の杉村三郎が逆玉婚で妻の父親が経営する大会社に勤務する心の広いサラリーマンとして扱われていた。その後、妻が不倫して離婚。義父が経営する大会社も退職。現在は東京の片隅で私立探偵業として糊口をしのいでいる。

杉村三郎の人徳ゆえ、探偵の元にはそれなりに仕事が舞い込んでくる。ただ、依頼は刑事事件ではない。家族の中の軋轢や地域の小さな事件の調査だ。

登場人物は日常よく見かける人物だ。
考えることはカネと異性だけ、間違っていても頭を下げない、責任を他人のせいにする、見栄を張る、他人の状況を一切忖度しない。こんな、自分