連載:俳句帳

1月の俳句帳(93)令和三年1月29日

1)常磐津(ときわず)の流れる茶会釜開き

2)障子窓樹影の揺れや翳(かげ)明かり

3)夕茶室床の蠟梅黄を灯す

4)川抜ける伊吹颪(おろし)や風の脚

5)堀川辺伊吹颪に首すくむ

6)伊吹吹く風道凍てる堀川路

7)川杭に並ぶ寒禽背を丸め

8)雪しまき翠羽の岸辺蒼背照る

9)朝靄(もや)にのどか鴨笛渡る濠

10)月光を浴びて山道寒九郎

11)京町家雪見障子の仄明かり

12)閑けさや障子茶室の薄明かり

13)床の間で点てる薄茶や藪柑子

14)落ちる葉の如き寒禽地面降り

15)笹鳴きの去りし寺庭沈黙(しじま)満つ

16)篆刻(てんこく