矢野隆 の 乱

★3.4 「島原天草の乱」を下島の森の中で育った野生児・虎の目で描く。

初期の研究では、幕府が大規模な一揆に目が集まるのを避けるため切支丹によるものとした。そして次は島原の松倉家、天草の寺沢家による過酷な年貢徴収に耐えきれなかった農民が主体とされた。

近年の研究では、民衆を計画的に組織し、島原と天草を同時に決起せしめた勢力の存在を強調する。この物語はその説に従って展開する。

四郎の父・益田甚兵衛はかつて仕えた小西家の牢人である。息子の四郎を御輿として飾り、徳川への恨みを晴らすため、転びキリシタンの立ち返りを誘い蜂起することを計画する。父の言いなりに