祖父は街の開業医でした。
近くに総合病院が出来てからは、風邪引き程度の患者もそちらの病院に行きだしてからこちらに来る患者はめっきり減っていました。、こちらに来るのは病院に見放されたような余命の短いお年寄りばかりに。
それでも祖父は決して手を抜くことなく、親身に治療に専念していました。
病院から追い返されたような末期の患者には医学は無力です。
そんな患者には医術よりも宗教を必要としたのです。
医学書は意味なく、祖父は仏教始め神道、キリスト教、回教などあらゆる宗教書を揃え寝る時間も惜しんで読みふけっていました。
そんな祖父を頼って遠くから通院してくる