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連載:俳句帳

2月の俳句帳(94)令和三年2月25日

季語「風光る」に寄せて

 三寒四温の寒い日、暖かい日、風の冷たい日、風の穏やかな日を重ね、季節は徐々に春めいて行く。「風光る」が季語として使用されたのは江戸時代の末で、実際。俳句として詠まれるようになったのは明治以降と歳時記に記載されている。風が「光る」という詞の響きに新鮮な感じがあり、人気が高まっている季語である。
「風光る」は春の風の一つの様相で、吹く風もきらきら輝いて見え、風に揺らぐ風景もまばゆく感覚的に捉えられている。陽光の射す海浜などの例句が多い。
≪風光る入江のぽんぽん蒸気かな≫ 内田百閒

季語「風光る」を詠んだ俳句8句(1〜8)に私の短いコメントを今回付けてみました。
1)広重版画「東海道五十三次」の街道筋はどの絵図も光る風が感じ取れる。家は鳴海の商家、有松絞の岡家である。
2)うなぎの寝床と呼ばれる京町屋の長い通路を風が通り抜ける。奥へ延びる通路に面して坪庭が陽射しを受けて輝いている。
3)降る雨のように笹の葉が風に揺らいで降り注ぎ、きらきら笹の葉が光を帯びている。
4)僧たちの読み上げる経文が歌唱のように風となり、寺院から灯る境内へ拡散して人心に届く。
5)輝るパイプオルガンの管にふいごで風が送られ、長いパイプから荘厳なオルガンの響きとなり、堂内や回廊に風となって澄み渡って行く。
6)正午の陽射しの中で梵鐘の音色が風のように拡がって行く。
7)穏やかな春風が萌葱色の山道を流れて行く。風の杣道は奥へと続く。
8)早朝、修行僧が長い廊下を雑巾がけしている。往復する動きが風を呼び、朝日が射し込んで来る。

1)街道の広重版画風光る

2)坪庭の蹲(つくばい)の水風光る

3)竹林に降りし笹の葉光る風

4)声明(しょうみょう)の渡る境内風光る

5)教会のパイプオルガン風光る

6)梵鐘の真昼九(ここの)つ風光る

7)風光り萌葱(もえぎ)杣(そま)道山奥へ

8)朝作務(さむ)の雑巾廊下風光る

9)川風に首をすくめて二月入る

10)小波の銀砂煌めく濠の春

11)対岸に翠羽を待ちて冴え返る

12)鳴禽の庭木飛び立ち余寒尚

13)暗闇に猫の目輝り春寒し

14)春禽の飛び立つ濠に朝日射す

15)宵の坂灯る手許に梅の白

16)春光を浴びて山川立ち上がる

17)山笑う墨絵山岳萌葱(もえぎ)染め

18)お湯割りで温める躰(からだ)余寒の笥(け)


https://youtu.be/hB6D4boGX-I


記載の画像・Youtube動画はウェブサイトからの借用です。

カテゴリ:アート・文化

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