連載:俳句帳

2月の俳句帳(94)令和三年2月25日

季語「風光る」に寄せて

 三寒四温の寒い日、暖かい日、風の冷たい日、風の穏やかな日を重ね、季節は徐々に春めいて行く。「風光る」が季語として使用されたのは江戸時代の末で、実際。俳句として詠まれるようになったのは明治以降と歳時記に記載されている。風が「光る」という詞の響きに新鮮な感じがあり、人気が高まっている季語である。
「風光る」は春の風の一つの様相で、吹く風もきらきら輝いて見え、風に揺らぐ風景もまばゆく感覚的に捉えられている。陽光の射す海浜などの例句が多い。
≪風光る入江のぽんぽん蒸気かな≫ 内田百閒

季語「風光る」を詠んだ俳句8句(1〜8)に私の短