連載:妄想爺やの春夏秋冬2

亡き父の 御霊(みたま)をさがす 蛍川

夏の夜に、川辺の草場に彷徨う蛍

その数多の蛍が飛ぶ方向は様々で、まさに彷徨うようだ

戦時中、神風特攻隊で逝った息子が、家に一匹の蛍となり還って来たという話しを聞いたことがある

蛍のあの消え入りそうな仄かな灯りは、まさに人の御霊のようだ

僕は霊魂などないと考える主義ではあるが、それでもあたかも亡くなった人たちの魂が、彷徨うように見えるのだ

子供の頃、父と歩いた川沿いの道に飛び交う蛍を想い出す

まあそれはそれとして、夏には、涼を感じる場を楽しみたいものだ

拙句1句

亡き父の
御霊をさがす
蛍川

カテゴリ:アート・文化