「高田郁」の日記一覧

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「縁と月日」

「縁と月日」  最近読み始めた時代小説の中で、時折り出てくる言葉。  「縁と月日」という言葉が、普段の生活の中で、ふっとした時に思い浮かんでしまう言葉になってしまっている。  「縁と月日」という短い言葉で物語の中では出てくるが、「縁と月日は末を待て」という諺の事で、「上方いろはかるた」の中にもある諺らしい。  関東の人間だからか、今まで知らなかった諺だ。  こちらのイロ…

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あきない世傳金と銀 12

あきない世傳金と銀 12  高田郁 評価 ☆☆☆☆ 浅草田原町に「五鈴屋江戸本店」を開いて十年。 藍染め浴衣地でその名を江戸中に知られる 五鈴屋ではあるが、再び呉服も扱えるようになりたい、 というのが主従の願いであった。 仲間の協力を得て道筋が見えてきたものの、 決して容易くはない。 因縁の相手、幕府、そして思いがけない現象。 しかし、帆を上げて大海を目指す、という 固い決心のもと、幸と奉…

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「高田郁『あきない正傅』」

炊きたての光るご飯は、目にも舌にもご馳走だ。普段は玄米を食べているので、スイーツ並みに甘い。そしていつもホッとする。 本にもそんな物がある。高田郁だ。江戸時代に芯を持って生きた女性、それも歴史上の有名人ではなく、庶民を描く。 本は知らない世界や生き方をリアルに体験させてくれるが、これはまるでご飯のようにブレない生き方を描いている。 8月10日に11巻が出ると知り、買ったままま読んでいなかっ…

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「別れてほしい」と言われたら

皆さん、「別れてほしい」 と言われたらどう思いますか? そして・・どうしますか? プールフレンドに、ご主人との不和で 悩んでいる人がいました。 1年前 <とても我慢できない!>  と訴えていました。 毎回、毎回 愚痴を溢します。 聞いている私は、「別れたい!」という言葉は、 「別れたくない!」気持ちの表れだと感じていて、 あまり感情移入せずに、笑って聞いていました。 私が聞いてから、そ…

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生きることの意味を問う物語

   ~~~ 読書感想 ~~~   蓮花の契り  高田郁  評価 ☆☆☆☆ 下落合で弔いを専門とする墓寺、青泉寺。 お縁は「三味聖」としてその湯潅場に立ち、 死者の無念や心残りを取り除くように、 優しい手で亡骸を洗い清める。 そんな三昧聖の湯灌を望む者は多く、 夢中で働くうちに、お縁は22歳になっていた。 だが、文化三年から翌年にかけて、江戸の街は 大きな不幸に見舞われ、それに伴い…

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「強い揺れだった」

漸く動悸がおさまった。珍しく早目に寝入ったところだった。いきなりのスマホの警報。同時に揺れが始まった。布団から飛び出した。 部屋の入り口を開け、息子を呼んだ。返事はない。玄関の戸を開けた。ますます強くなる。誰も外に出ていない。 小さくなった。リビングに行きテレビを点ける。女性アナウンサーの声が聞こえる。緊迫感はあるが不安を煽る感じはなく、正確な情報を伝えようとしている。娘にラインした。 長…

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学者の娘として生まれる幸 あきないシリーズ⑴

日記が滞ってしまっています・・ 夜のこの時間が読書に代わってしまっています。 高田郁の「あきない世傳 金と銀」シリーズに 夢中になっています。 今年になって、今 5冊目が読み終わりそうです。 あきないって、変換すると「商い」とも 「飽きない」とも「厭きない」とも出ますね。 「あきない」のこと、とても深く考えさせられて いますし、ストーリー的にもテレビドラマを 見るよりもとっても面白い展開です…

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「変わらずにいること」:『あきない世傅 金と銀 九』

旅から帰った翌朝、まだ疲れが残っている気がしたが、そんな時こそいつものルーチンを変えてはならぬとスポーツブラとウエアに着替えた。 「市民の森」にはいつもの場所に自転車が2台停まっている。 「減点法でいこう」 私も仲間も目標は10周。腕時計を忘れた時は指を折って数えるが、いつか仲間が減点法で「あと9周」、「あと8周」と減らして行くと言った。ゼロになった時、キリがいいらしい。 仲間の姿は見えな…

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【読書】花だより みをつくし料理帖 特別編

【読書】花だより みをつくし料理帖 特別編 題名:花だより みをつくし料理帖 特別編 作者:髙田郁  「みをつくし料理帖」が全10巻で完結してから四年が経ち、特別編として新作が出版された。  この作品と出会うのが遅かった私としては、最終巻を読んでからこの特別編を読むまでの間が三ヶ月ほどしか経ってなかったのだが、それでも無性に懐かしく思いながら作品を読んだ。  四年間待っていた愛読者らにとっ…

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【読書】銀二貫

【読書】銀二貫 題名:銀二貫 作者:高田郁  江戸時代が舞台の時代小説をこのところ読み続けているが、なかなかお金の単位に慣れない。  「両」「分」「朱」という金貨の単位や、銭の「文」という単位が、よく出てくるのだが、それがどのくらいの価値なのか、把握しきれないままに読んでいることがある。  一両=小判(1枚)=二分金(2枚)=一分金(4枚)=二朱金(8枚)=一朱金(16枚)=一文銭(400…

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【読書】みをつくし料理帖 全10巻+別冊

題名:みをつくし料理帖 作者:高田郁 01 八朔の雪 02 花散らしの雨 03 想い雲 04 今朝の春 05 小夜しぐれ 06 心星ひとつ 07 夏天の虹 08 残月 09 美雪晴れ 10 天の梯 ・ みをつくし献立帖  売れる時代小説の条件があるらしい。 ・江戸市中が舞台であること ・捕物などミステリー要素があること ・剣豪ものであること  この三つとのことだ。  確かに自分が好…

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高田郁の「あきない世傳 金と銀(四) 貫流篇」。

★3.2 シリーズ4作目。 今回は惣次の失踪と智蔵の帰還、そしてなんと幸と智蔵の祝言。 浜羽二重と名付けた波村産羽二重の販売と近江商人による東北持ち込み、更には一旦は五鈴屋を出ていた留七と伝七による在庫品の担ぎ売りと販売量を拡大していく。巻末には新店舗買取の話も。 前巻あたりから物語がおかしくなりだした。惣次による不良手形の扱い、そして今回の3兄弟による回し婚のような処置、こんな醜聞が続けば…

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高田郁の「あきない世傳 金と銀〈3〉奔流篇 」。

★3.3 シリーズ3作目。 五十鈴屋5代目となる惣次に乞われて妻となった幸の21歳(延享2年、1745年)までを描く。 日本一の呉服商を目指す惣次は店内に次々と改革を打ち出す。番頭や手代に売上ノルマを課し、5節季払いを客に認めさせる。 仕入れは幸の発案で、それまで生糸のみだった江州波村での織物生産を働きかける。だが惣次の手形は結果的に不渡りとなり、信用が失墜。 やはり幸がひとりで五十鈴屋…

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高田郁の「あきない世傳 金と銀2  早瀬篇」。

★3.5 シリーズ2作目。 大方の恐れていた通り、14歳の幸は、番頭・治兵衛の提案で阿呆ぼん・徳兵衛の後添いと決まった。 治兵衛は「今は商い戦国時代、お前はんは戦国武将になれる器」だと説得。 しかし、放蕩三昧の徳兵衛からは「小便臭い子ども」と相手にされない。 今回の主なテーマは「店先現銀売り」と「屋敷売り・見世物商い」との違い。 幸には、呉服商仲間の「試問」や惣次による「肝試し」など作…